給湯器の選び方

給湯器エコジョーズの違いと、そのメリット・デメリット

ガス給湯器の交換する際には、「エコタイプにするか、従来タイプにするか」という選択をすることになります。

エコタイプの代表である「エコジョーズ」は普通の給湯機とサイズが同じなので、交換も容易です。 エコジョーズは効率がよいので、何もしなくともガス代が安くなりますから、ガス給湯器の業界としてエコジョーズを標準として薦めることも多くあります。

反面、本体代が高かったり、設置に条件があったりといった注意点もあり、誰しもがエコジョーズを選べば良い、というわけでもありません。

ガス屋くん
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きちんと知って、賢く選びましょう!

エコジョーズと従来型の違いは4つ

違いは次の4点です。

  1. 効率が良いから、ガス代が安い(メリット)
  2. 排気温度が低いので、排気ガスが溜まりやすい(デメリット)
  3. 排水がでる(デメリット)
  4. 本体代が少しだけ高い(デメリット)
  5. 部品が追加されているので、従来型よりも修理代がかさむ(デメリット)

違い1.効率が良いから、ガス代が安い

従来型の給湯器の排気温度は約200~250度に対し、エコジョーズは約50~80度と、約200度ほど低いです。普通の給湯器が捨ててしまう排熱を、エコジョーズはお湯づくりに利用しています。だから効率がいいんです。

その結果、従来型は給湯熱効率が80%程度でしたが、エコジョーズは95%にまで上昇しました。その分、ガス代が安くなります。毎月、平均で1万円利用しているご家庭の場合、年間で12万円ガス代を利用していることになりますから、約2万円もガス代の節約になります。

実際には、使用量やガス料金の契約などによって、ガス代の削減額は変わります。必ずしも数値通りではないのでご注意ください。

エコジョーズ仕組み図エコジョーズ仕組み図

 

違い2.排気温度が低いので、排気ガスが溜まりやすい

エコジョーズは、排気ガスに含まれる熱を取り出しますから、排気温度は50度程度です。

温度が下がることはユーザーにとっては良いことです。温度が下がった分はガスの消費量が下がりますし、排熱温度が低いと地球温暖化にも貢献できます。

ただし、従来型と比較して温度が低いので、排気ガスが本体に近い位置で溜まりやすいという特性があります。

結果として、排気口の排気方向にアルミサッシなどの金属製品があった場合、表面にサビや塗装の剥がれ、腐食が発生することがあります。

従来型もサビや腐食などのトラブルはありましたので、エコジョーズだからといってその状況が大きく変わったわけではないのですが、エコジョーズの場合、より長い距離、排気が届くようになりましたので、より慎重に設置位置を検討しなければならなくなりました。

エコジョーズ設置基準

エコジョーズ設置基準

 

メーカーの設置基準は上図のとおりです。安全上の問題はありませんけれど、排気ガスがあたったことによる劣化等については考慮されていません。

対策として排気カバーを設置すれば解決

メーカーの設定する設置基準は、「前に60センチ以上」なのですが、それ以上に届きます。

具体的に●メートル、という基準はないのですけれど、無風状態で排気の届く距離が2.5メートル~3メートル前後ですから、それ以上あれば「強い懸念は必要ない」という認識をしています。

とはいえ、「では3メートルの距離があれば全く排気があたらない」というわけでもありません。風向きなどによっても変わります。

ですから、可能な限り、排気方向には排気があたっても問題がないように設計する、という考え方が大事です。

方法としては、排気カバーで排気変更を変更する、設置位置を変更する、などの方法で対応が可能です。

種類は2種類あり、側方(横排気)、上方(上排気)です。

隣家に影響のないことが、車などの高価なものに当たらないこと、を前提に向きを変更しましょう。こちらについては、業者さんに現場を見ていただき、しっかりを打ち合わせをすることを強くおすすめします。

排気カバー排気カバー

排気カバーのデメリットは?

1万円程度の部品代は必要にはなりますが、排気カバーを設置するデメリットはないと考えて問題ありません。

雨水が本体にはいるけれど、影響はない(上方排気)

上方排気の場合、雨水が入りやすくなりますが、給湯器本体に入った雨水は中和器を通ってドレン水と同じように排水されてゆきます。性能上、想定されているので、強い懸念は不要です。

ただし、極端に木が生い茂っている場所で、落ち葉が排気口を塞ぐ、という場合は注意が必要ですね。木を切るなどの対応が必要になるかもしれません。詳しくは、見積もり業者さんにお問い合わせください。

排気カバーによって排気が妨げられることはない

排気カバーを設置することによって、「排気がしにくく滞留する」「機械にストレスがかかる」などの懸念は必要ありません。ファンで強制排気されていますから、なんの問題もなく力強く排出されます。

特にマンションで多いのですが、排気筒(エントツ)で排気を排出する給湯器も現役でたくさん設置されています。そういった給湯器でも、特別に寿命が短いというデータはありません。排気カバー程度の負荷では影響はないと考えて良いです。

違い3.排水が出る

エコジョーズは排熱を利用して水を温めていることによりガス代が安くなる機械です。

すごくざっくりと表現すると、排熱の蒸気でお湯を沸かしているようなものです。例えるなら、ポットの湯気で水を温めているようなもの、と考えてください。

ガス屋くん
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では問題です。ポットの湯気に手を当てるとどうなりますか?

水滴が付きますますよね?

エコジョーズも同じです。排気ガスでお湯を作る過程で水滴が大量に発生しますから、この水を捨てないといけません。

しかし、排気ガスの混じった水で酸性になっています。この水はそのまま捨てられませんから、中性に中和する必要があります。それを行うのが「中和器」という部品です。

ドレン水の排出量

具体的な排出量は、給湯は1分間に約70cc、暖房は1分間に30cc程度ですが、目安です。たくさんお湯を使えば使うだけドレンの排出量は多くなります。

ちなみに、ティーカップ1杯が180ccですから、1分間にコップ半分くらいの水が排出されている、ということになります。

ドレン水の濃度

エコジョーズ運転時には、ph3程度の酸性の水が発生します。それを中和器を通してph7程度の中性水に変化させて、排水に流しています。

ちなみに、中和器は年数経過とともに中和能力が落ちてゆきます。ただ、交換する時期でもpH5.8程度は維持するように設計されていますから、強い環境への不安は必要ないと思われます。

水道水は、「pH5.8~8.6」と定められています。
ph5.8というのは、飲料水ギリギリのライン、ということになります。

飲料水としては中性(pH7.0)に近いことが望ましいのですが、エコジョーズの排水を飲むわけではありませんしね。排水に流しても問題がない基準に定められている、というところで安心していただければと思います。

違い4.本体代がちょっとだけ高い

給湯効率を上げるために、従来型の給湯器にはない部品が追加されています。そのため、「少しだけ」高くなっています。製品にもよりますが、1.5万円~2.5万円程度、商品代としては高くなります。

ただし、エコジョーズはガス代が安くなります。ガス代も含めると、多くのご家庭ではエコジョーズのほうが、総合的な支払額は安くなります。

金額面でエコジョーズをおすすめできないご家庭は、例えば、月に数日しか自宅にいない、などといった特殊なご家庭だけです。

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違い5.部品が追加されているので、従来型よりも修理代がかさむ

部品が追加されていますから、従来型よりも修理代がかさむケースがあります。増えた部品の代表例が「中和器」です。

中和器の特徴

  • 交換費用は、工事費込みで2万円程度(商品、設置状況によって変動あり)
  • 製品の寿命は、約10~15年(運転時間換算で約5000時間)

詳しいことはこちらでご紹介しています

エコジョーズの排水中和器、交換のタイミングエコジョーズタイプの給湯器には、ドレン水を中和するための「中和器」が設置されています。中和器の 交換タイミング 交換費用 ...

 

 

 

まとめ

給湯器を、従来型からエコジョーズにすることによって、

  1. 効率が良いから、ガス代が安い(メリット)

という点が大きなメリットです。

それに対し、金額的なデメリットはこの2点。

  1. 本体代が少しだけ高い(デメリット)
  2. 部品が追加されているので、従来型よりも修理代がかさむ(デメリット)

ですが、本体が高くとも、修理代が高くとも、それ以上にエコジョーズのガス代節約効果のほうが高いので、気にする必要はありません。(外出が多く給湯器を使わないご家庭を除きます)

 

そして、機器的なデメリットとして、

  1. 排気温度が低いので、排気ガスが溜まりやすい(デメリット)
  2. 排水がでる(デメリット)

上記2点があります。この2点は工事方法の工夫等によって解消されますから、通常利用する限りは気になることはありません。

 

以上のように、「ほとんどのご家庭にエコジョーズはおすすめできる」商品ですから、あまり気にせず、エコジョーズタイプを設置することをおすすめします。

エコジョーズを「おすすめできない」ご家庭

  1. 不在がちで、給湯器をほとんど使わない
    ガス代節約メリットがありません。冬場でも、ガスコンロ込みでガス代が3000円以下なら従来型で良いでしょう。
  2. 排水処理ができない
    マンションに多いです。排水を垂れ流しにすると建物や構造物などに想定しない劣化が起こることが考えられます。排水処理が出来なければ辞めたほうが無難でしょう。