給湯器の選び方

エコジョーズの排水中和器、交換のタイミング

エコジョーズタイプの給湯器には、ドレン水を中和するための「中和器」が設置されています。中和器の

  • 交換タイミング
  • 交換費用

について解説します。

中和器とは?

中和器の特徴

  • 交換費用は、工事費込みで2万円程度(商品、設置状況によって変動あり)
  • 製品の寿命は、約10~15年(運転時間換算で約5000時間)

エコジョーズは排熱を利用して水を温めていることによりガス代が安くなる機械です。

すごくざっくりと表現すると、排熱の蒸気でお湯を沸かしているようなものです。例えるなら、ポットの湯気で水を温めているようなもの、と考えてください。

ガス屋くん
ガス屋くん
では問題です。ポットの湯気に手を当てるとどうなりますか?

水滴が付きますますよね?

エコジョーズも同じです。排気ガスでお湯を作る過程で水滴が大量に発生しますから、この水を捨てないといけません。

しかし、排気ガスの混じった水で、酸性になっています。この水はそのまま捨てられませんから、中性に中和する必要があります。それを行うのが「中和器」という部品です。

中和器

中和器の中には「炭酸カルシウム」が入っています。酸性の排水が通ることで化学反応が起こり、中性になります。

エコジョーズドレンについて

ドレン水の排出量

具体的な排出量は、「給湯は1分間に約70cc、暖房は1分間に30cc程度」です。ただし、たくさんお湯を使えば使うだけドレンの排出量は多くなりますので、実際には変動しています。

ちなみに、ティーカップ1杯が180ccですから、1分間にコップ半分くらいの水が排出されている、ということになりますね。まあまあの量です。

ドレン水の濃度

エコジョーズ運転時には、ph3程度の酸性の水が発生します。それを中和器を通してph7程度の中性水に変化させ排水に流しています。

ちなみに、中和器は年数経過とともに中和能力が落ちてゆきます。ただ、交換する時期でもpH5.8程度は維持するように設計されていますから、環境への強い不安は必要ないと思われます。

法令で、水道水は「pH5.8~8.6」と定められています。
ph5.8というのは、飲料水ギリギリのライン、ということになります。

飲料水としては中性(pH7.0)に近いことが望ましいのですが、エコジョーズの排水を飲むわけではありませんしね。排水に流しても問題がない基準に定められている、というところで安心していただければと思います。

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中和器の寿命

ドレンの発生量はお湯の量に比例し、中和剤は、中和したドレン量に応じて摩耗します。

よって、給湯器の使用時間からドレンの発生量を計算することで、中和剤の寿命の判断を行っています。

寿命は使用状況によって変化するのですが、一般的な家庭だと10年~15年程度が寿命になるでしょう。

中和器の寿命が近づくと、給湯器はエラーコードでお知らせをしてくれます。

第1段階のエラー:エラーコード920

「105ギガカロリー」を利用したときに、エラーコードがでます。この段階だと給湯器は運転は継続しますから、利用は可能です。ただ、「もうすぐ止まっちゃうよ」というサインなので、中和器もしくは本体の交換を検討し、早急に交換してください。

ちなみに、この時点でも排水はph5.8程度を維持するように設計されています。

第2段階のエラー:エラーコード930

「110ギガカロリー」を利用したときに、このエラーコードが出ます。この時点で給湯器は動かなくなります。

こうなる前に交換が必要です。

ギガカロリー、という単位について

給湯器の消費熱量は、カロリーで表されます。「1kcalとは1Lの水を1℃上昇させるのに必要な熱量のこと」です。

エコジョーズの中和器は何年使える?

では、第一段階のエラーである「105ギガカロリー」という数字は、給湯器は一体何時間使えるんだろう? という疑問について計算しましょう。

16号程度の給湯器のガス消費量を29,300カロリーです。

仮に、16号給湯器のフルパワーで、毎日1時間運転を10年続けたとして計算してみましょう。

29,300cal✕365日✕10年=106,945カロリー(約106ギガカロリー)

1日1時間の利用だと、約10年で106ギガカロリーに到達する計算になりました。105ギガカロリーから取替推奨時期に入りますから、寿命は10年程度、ということになります。

給湯器の運転時間について

一般的なご家庭なら、1日につき、1時間~2時間程度と思われます。

浴槽にお湯を貯める時間が約20分。シャワーで体を流す時間が一人に付き10分程度。3人家族として、30分。

あとは、洗い物をしたり、手を洗ったりする時間などなど、です。もちろん家族構成や使い方にもよりますから、目安です。

また、冬場と夏場では使用するガス量は変わります。水温が、冬場で5度、夏場だと25度程度ですから、夏場はあまり燃焼させていません。そのような背景から単純な計算通りにはならなず、概ね、「一般家庭で15年程度」というのがメーカーの回答であり、経験則からの答えでもあります。

当然、家族が多いご家庭だとか、朝と夜の2回お風呂に入る、というケースだと、運転時間は長くなりますから、寿命も短くなります。

中和器の交換費用

中和剤は2万円~2.5万円程度で交換可能です。

ただし、交換費用は設置場所や機種によって違います。例えば、二階ではしごをつかわなければ交換ができないような場所に設置されている場合の交換費用は高くなります。

ちなみに、中和剤の交換が思いの外早く到来した家庭、例えば7年で交換が必要となったからと言って、では「中和器の交換の必要がない従来型の給湯器を選んでおけばよかったのか」というとそうではありません。

中和剤を早く交換しないといけない家庭は、エコジョーズにしたことで年間でガス代が安くなっている家庭でしょう。中和剤の交換を心配しなければならない家庭であればあるほどに、確実にエコジョーズにしたメリットを受けることができていますから心配は不要です。

まとめ

中和器の特徴

  • 交換費用は、工事費込みで2万円程度(商品、設置状況によって変動あり)
  • 製品の寿命は、約10~15年(運転時間換算で約5000時間)

エコジョーズについてはこちらのページでご紹介しています。

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